長州ファイブ・サムライ達の倫敦」集英社新書、桜井俊彰

長州嫌いの人にはすみません(苦笑。

 

長州ファィブとは幕末に倫敦に密航した長州藩の5人のことを言います。伊藤博文(伊藤俊介)、井上馨、遠藤謹助、山尾庸三、井上勝(野村弥吉)の5人です

 

 映画にもなっていて、歴史的な偉業なので是非高校生にも見てもらいたいのですが、いかんせん前半がひどすぎて無理かなと。

 

 いずれにしてもこの5人が海を渡り倫敦に留学し、明治の日本に多大な貢献をしました。

彼らが留学したUCL(ロンドン大学)では2013年に「長州ファイブ150周年」を記念した催しが開かれたそうです

 

 伊藤、井上馨はほとんどの人がご存じだと思いますが、後の3人を簡単に紹介すると

遠藤は 

日本造幣の道を切り開いた人です。造幣局の桜並木はこの人が作りました

井上勝は日本の鉄道の父です。

山尾は日本の工業化に尽くし、更に聾唖者などの障害者教育に先駆的な働きをしています。長州ファイブは彼が主人公です。

 

 この5人がほぼ半年の航海の末、倫敦に到着しロンドン大学で学ぶことになります。伊藤と馨は藩の事情のため(下関戦争)半年ほどで帰国しますが、後の3人、特に山尾と井上は5年イギリスで学びます。

 

 過酷な航海でも、誰一人命を落とすことなく「生きたる機械」となって返る使命を達成し、明治日本の巨人となりました。

 

 伊藤については、学校の日本史では初代総理大臣、あるいは明治憲法の起草者程度しか学びませんが、彼は日露戦争に反対し、朝鮮併合にも反対していました。が、成り行きで初代韓国統監となりましたがハルピン駅頭で暗殺されました。

 伊藤が存命であれば、無謀な戦争に突っ込むこともなく、韓国併合もなく日本はまた別の歴史の道をたどったかもしれません。

 

 それはともあれ、彼らが先に倫敦で学んでいた頃、別の日本人グループが少し後にやってきました。薩摩スチューデント、あるいは薩摩ナインティーンと呼ばれる薩摩の留学生です。森有礼が一番有名かもしれません。

 

 学校の歴史でも、幕末を扱う大河ドラマでもまず出てくることのない長州ファイブ。長州嫌いの人も、どうぞ一度読んで見てください。